街からグラフィティを守れ!!ライターは結束して立ち向かう。これはライターたちの"革命"の物語。「オーバーライト —ブリストルのゴースト」
こんばんは。
前回の宣言通り電撃文庫紹介します。
「オーバーライト—ブリストルのゴースト」(電撃文庫)です。表紙と帯のセリフがかっけーのなんのって。
先月の電撃文庫新刊で金の帯。《選考委員奨励賞》を受賞されています。
グラフィティ?ライター?知らない言葉が出て気になるかと思いますが、読めばしっかり解説もしてくれるので安心です。てかこの分野の作品って初めて読みましたね。
あ、ちなみにブリストルはイギリスの街の名前です。
…
日本からブリストルの大学に留学中のヨシはバイト先であるゲームショップ〈エイト・ビット・ワールド〉に向かっていた。
お店に入ると不機嫌顔で退屈そうにしている金髪少女が座っていました。
ヨシのあいさつをスルーするその少女の名前はブーディシア。通称ブー。表紙の子です。
そしてこのお店の店員(!?)
ヨシとブーがお店の掃除をしていると、来客が。
名前はジョージ。市の職員でグラフィティの推進を担当しています。そして常連客ではあるけど、何か買うわけでもなく…ブーと言い合いをして帰るだけっていう(・・;)
ただ今日は少し違うようで、
「店のガラス、落書きされてたよ」
ヨシは外に出て確認するとショーウィンドウの隅に小さな絵。それは大きな帽子を被ったガイコツがボートの上で槍を振り上げている絵でした。
なんでしょうこの絵。というヨシにブーは
「こんなのよくあるグラフィティだろ」
グラフィティ…(・・?)
知らないヨシにジョージが説明してくれます。
◯グラフィティとは
スプレーやペンを使って街の壁などに書くアート。NYを中心に世界中で発展。本来はヒップホップ・カルチャーの一部である。そして…
多くの場合、犯罪である。器物破損に該当します。
描くでも塗るでもなく書くと表記するのは、グラフィティは自分のニックネームを落書きすることが始まりというのが定説だから、だそうです。
故にグラフィティを書く人はライターと呼ばれます。
なるほど。勉強になります_φ( ̄ー ̄ )
このジョージの説明にブーが付け加えます。
「ここブリストルは、そのグラフィティの聖地なんだぜ」
あの有名で謎だらけのバンクシーもブリストル出身なんですって!バンクシーならエリオも知ってる(*⁰▿⁰*)
…
話を戻そう。
ただこのガイコツの落書き、ブーは何かを知っているようで…ヨシは追及します。
ブーによると、その落書きはステンシルという方法で書かれたものである。
そして複数犯であるということ。
ブーはその犯人に心当たりがある。
っとその前にステンシル???
◯ステンシルとは
切り抜いた型紙を使って上からスプレーを吹いたもの。グラフィティは犯罪なので、このような素早くテクニックも時には必要ということなんでしょう。
…
ヨシとブーに連れられ向かったのは画材店。
店内に入るとヨシは見覚えのあるスプレーを見つけます。
94と書かれたスプレー缶。
それはヨシが留学したばかりの頃。街で迷子になった彼がたまたま見つけたグラフィティ、それを書いたライター。そして94と書かれたスプレー缶。あの時あった缶と同じ数字でした。
その店内にはスキンヘッドでサングラス付けてムキムキの男性が。名前はアイオン。画材店の店員で、日本文化(禅)に造詣があり、彼もまたライターです。
そこでヨシはアイオンに教えてもらいます。
グラフィティは競争の側面を持っているが絶対の決まりがあって、それは
上書きするときは、より手のかかった、あるいは優れた作品を書く
というものでした。
そしてもうひとつ。
ブーディシアは一級のライターであり、この辺りでは〈ブリストルのゴースト〉と呼ばれた天才であると。
…
画材店を出たふたりが次に向かったのはベアー・ピット。広場です。
アイオンに教えられたブリトーのお店には男がふたり。落書きの犯人です。
彼らに落書きを消させ、ブリトーをアイオンに届けさせたブー。
これで一件落着、と思いきや。
翌日。
エイト・ビット・ワールドのショーウィンドウに再び落書きが。しかし今度の落書きはガラス一面を覆うほどの大きなグラフィティでした。
困惑するヨシと店長のラディシュ。そこへブーがやってきます。グラフィティを見て固まるブー。その目は困惑というより驚きのような目で…
続いてジョージがやってきて、このグラフィティには復讐(リベンジ)と書かれている。昨日の奴らを率いているリーダーが手下に書かせているとヨシに言いました。これは報復だと。
そしてブーがいないことに気づくヨシ。
ジョージの言葉も待たずに走り出しました。
…
ヨシが向かった先はベアー・ピット。
昨日のふたりに話を聞こうとしたらブーが来て
「あいつに見つかる前に行くぞ」
とこの場を離れようとしますが
「あらまあ」
そこへ登場したのはグラフィティ集団《女王熊の復讐(クイーン・ベアーズ・リベンジ)》のリーダー、ララでした。青緑に染められた髪と露出の多い格好が目を引く女性。団員からはキャプテン(海賊)と呼ばれています。
向かい合うふたり。
店のグラフィティを消しに来いと言うブーに
「なんの話?」
とララ。
「そんなの、書いてないわ」
!?!?
ではあのグラフィティは誰が書いたのでしょう???
その水面下では。
市議会による決定で着々とグラフィティは街から消え去ろうとしているのです!!
ブーディシアはなぜグラフィティを書かなくなったのか。
ヨシはなぜブリストルに留学に来たのか。
ふたりには共通点があり、それはこの街の変化と共に、彼らも大きく成長していくのです。
なせ人はグラフィティを書くのか。
それぞれのグラフィティの守り方。
人の心を動かすほどのグラフィティ。
ララのグラフィティへの思い、街への思い…とても感動しました。
次もまた電撃文庫紹介する予定です。それでは〜ノシ