彼女は今日も全力で突っ走る。人間×妖怪が送る素敵な物語「お迎えに上がりました。 国土交通省国土政策局幽冥推進課 2」
こんにちは。
梅雨明けたら暑すぎぃ(;´д`)
今日は「お迎えに上がりました。 国土交通省国土政策局幽冥推進課 2」(集英社文庫)を紹介しようと思います。以前も更新しましたが、あれは1巻の内容だけですので。
2巻のテーマは親子なのかなと思いました。
親から子、子から親…それぞれの思い(愛情)が本当によく伝わってきて感動しました。
話は3つに分かれているので、それぞれ少しずつ紹介しようと思います。
幽冥推進課の臨時職員として採用された課唯一の人間、朝霧夕霞(あさぎりゆうか)がどんな幽霊と向き合うのか。
※国土交通省国土政策局幽冥推進課とは
元国民である地縛霊に国土開発のため、彼らがなぜそこにとどまるのか理由を聞き、交渉や説得をして問題を解決して幽冥界(あの世)の移住を案内するところ。
◯おんぶに抱っこは、ほどほどに
朝にめっぽう弱い朝霧が今日もギリギリ勤め先であるオンボロビル、国土交通省国土政策局幽冥推進課(長い)のオフィスに到着します。
さて、今回の依頼は…の前になぜか怪談を話し出す辻神課長。
そしてその怪談こそが今回の案件だという化け猫の火車。火車は朝霧の直属の先輩です。
その怪談というのが
山間の小径を通る時、誰もいないのにシクシクとすすり泣く声が。しかし周りを見渡しても背の高い石積みの壁。人の姿はありません。でも視線を感じる…
気になってその視線の先を見ると、壁の上からじっとこちらを見ている老婆と目があったのです!((((;゚Д゚)))))))
で、なにが依頼と関わってるのさー?
なんでも観光のために道を整備して観光パンフレットを配り始めたら、急に老婆の霊が出るようになったとのこと。
その老婆の霊が小径にいる理由を解き明かし、幽冥界にご案内するというのが今回の依頼です。
不思議なことに老婆は笑っていたらしいのです。すすり泣く声が聞こえるのに。
!?
翌日。
朝霧と火車は老婆の霊が出るという場所に向かいます。
ウワサ通り石垣の上に座る老婆が。名前は中山ミドリさん。しかしミドリさん…
本当に地縛霊!?と疑うくらいに動きがリアルというか(・・?)
火車は朝霧に言います。
彼女は地縛霊ではなく、生き霊である。と。
そして聞こえてくる
……オッパショ……オッパショ
生き霊ということは…幽冥推進課の出番ではないってこと!?
◯正しい休暇の過ごし方
幽冥推進課の臨時職員になったものの、日々の支出に頭を悩ます朝霧。
今日も電車に揺られ職場の最寄駅へ。真剣に今日のお昼について悩んでいると…ジャケットのポッケに100円玉を発見!
しかしここは通勤ラッシュの駅の構内。見知らぬ人にぶつかり100円玉が朝霧の手から離れ、コロコロコロコロ…
「あぁっ!」
と人の視線も気にせず嘘みたいによく転がる100円玉を追いかける朝霧。
100円玉はやがて古いコインロッカーと壁の隙間に入り込んでしまいます。
今の朝霧にとっては大変貴重な100円玉、お昼に大きく関わってきます(笑)
そんな訳で隙間に腕を伸ばし、100円玉を探す朝霧。しかし手応えなし。
「そこじゃないよ、もう少し奥だよ」
そうそう、そこそこ。
その声の通りに探すと…100円玉発見!
立ち上がって振り向きお礼を言う朝霧。
しかし彼女の周りには誰もいません。
( ゚д゚)
「とれて良かったね」
でも声は聞こえます。その声のする隙間を見ると…白い目がこちらをじーっと見ていたのです!
それは蒼白い顔で体育座りをする地縛霊の男の子でした。
ありがとう、とお礼を言う朝霧。
しかし男の子はありがとうと言われたことがないようで…
どういうことだ?
幼稚園か小学生の子がお礼を言われたことがない?そんなことあります?
これを聞いた朝霧は男の子に尋ねます。どうしてここにいるのか、一人で何をしようとしているのか。
それはね
「コインロッカーに預けた僕を、お母さんが迎えに来てくれるのを待っているんだよ」
と男の子は言いました。
…
仕事中。その子のことが忘れられず、朝霧は休日を返上して彼のために行動を起こすのです。
果たして仕事ではないこの一件を彼女はどう向き合うのでしょうか???
◯道路のお稲荷さん
幽冥推進課に入り2ヶ月が過ぎた6月のある日。
火車に散々指摘されていたので、いつもより15分ほど早く職場に着きました。
しかし先輩の百々目鬼(どどめき)や上司の辻神に最近眠れていないのでは?と心配されます。
実際そうなので何も言えずにいると…
辻神「ところで朝霧さん、今日は暇ですか?」
朝霧「いいえ、暇じゃありません!今日も定時までは業務ですからねっ!!」
いやそーじゃねーだろ!!(笑)
辻神が言いたかったのは急ぎの仕事が入っていないか?ということ。
特に入っていないと答える朝霧に辻神は
「今日は午の日でしてね、久しぶりに表敬訪問に行こうと思っているのです」
表敬訪問…一体どんな目上の人に会いに行くのでしょう?
神様です。
ま、お稲荷さんって章タイトル出てますもんねε-(´∀`; )
てな訳で。朝霧と辻神…と朝霧のリュックの中にいる火車は神様のもとへ向かいます。
表敬訪問とはいえ、本当の理由は別にありまして…
それは神様に別の土地に移っていただくと言うもので。
しかしその神様は今まで頑なに断ってきました。
さぞかし怖い神様なのだろうと言う朝霧に辻神は
「びっくりするぐらいに優しい神様です」
優しすぎて悲しくなるぐらいに。
加えて辻神は言います、
「その神様とは、役目の終わってしまった"お稲荷さん"なんですよ」
お稲荷さんとは稲が良く育つようにと迎え入れられた神様です。
当時はその社の周りは一面田んぼで、お稲荷さんは田の神として村の人々に崇められてきました。
「見えてきましたよ、朝霧さん」
辻神が指した方向を見た朝霧は驚きます。
その社は生活道路のど真ん中に建っていたのです!中央分離帯のように…
「いやいや……あれはさすがにダメでしょ!」
…
故人と残された人…それぞれの想いを汲み取り行動を起こした朝霧には本当に感動しました。
あと笑いも(笑)
最後の幕間は気になりましたが…
あと解説が本物の国土交通省国土政策局の局長さんがしていたのは面白かったですね。1巻もそうだったっけ?
ともあれ、最初から最後まで楽しい小説でした。
相変わらず更新ペースが遅いですが…まだ手術が先なので悪しからずm(_ _)m
目の曇りが解消されてどんな視界になるのか楽しみでもあり、手術が不安でもあり…なエリオでした。それでは〜ノシ