偶然見つけたトンネル、そこは時間の流れが遅くなる不思議な空間!?彼はそこで検証を始める。すべては妹のために。「夏へのトンネル、さよならの出口」
こんばんは。
外出自粛なのでYouTubeでクラシック聴きながらラノベ読んでますエリオです。
こんなに天気がいいのにね!( ;∀;)
今日は夏を先どりということで(?)、「夏へのトンネル、さよならの出口」(ガガガ文庫)を紹介します。
いやぁものすごく感動しました。この1冊で話は終わっているので是非読んでいただきたいです。
そしてイラストがとても綺麗ですね。キャラクターだけではなく、彼らがいる背景までも鮮明に想像できるような素晴らしいイラストです。
…
7月の始め。
海も山もある田舎町の香崎高校に通う2年生塔野カオルは駅のホームで電車を待っています。
過剰なまでのセミの鳴き声や激しい日差し…夏は嫌いだと気疲れしながら。
そして電車が鹿と接触したため遅延が発生と。遅刻確定/(^o^)\
「ウラシマトンネルって知ってる?」
隣のベンチからそんな話が聞こえてきました。発言元は同じ高校に通う女子生徒ふたり。
カオルは彼女たちの話に耳を傾け、そこからわかったことは
ウラシマトンネル。そこに入れば欲しいものが何でも手に入る。その代わり年を取る。
と言うものでした。その話について考えていたら、ふと思い出したのです。
そういえば今日転校生が来るのだと。
花城あんず。
それが東京から来た転校生の名前だと、遅れてきたカオルは友人の加賀翔平に教えられます。しかも黒髪ロング美人(表紙の子)。
しかしその転校生は周りに一切興味がないのか、思ったことをストレートに言うのが当たり前なのか…性格に難ありで。早速クラスメイトと距離ができているようで(^-^;
おまけに勉強もできるし運動能力も高い。
当然クラスには彼女を気に食わない人もいて…名前は川崎小春。染めた髪、短いスカートと校則違反全開の身だしなみだけど、クラスで一番の美人。
そんな川崎は花城をパシらせます。ジュース買ってこいって。
言われた通りに買って来た花城。しかしそれを川崎に渡すことなく自分で飲んだのです!
や、やべーやつ!?∑(゚Д゚)
放課後。
今度はカオルが川崎にパシられアイスを買いに行かされます。自分の芯がないカオルはすっかり川崎のパシリに慣れ切っていて…
断れよと言う加賀にしゃーなしと答えるカオル。
川崎にアイスを渡し、逃げるように帰るカオル。
最寄駅で降りて家に帰る途中、カオルに声をかける少女がいました。
それはカオルの妹カレン。逃げ水という言葉を知らない彼女は必死にカオルに「晴れと雨の境だよ」と笑顔で。
それが逃げ水だとわかるカオルは妹に説明をしたかったけど、固まって声が出ず何も言い出せません。
やがてカレンは陽炎とともに消えてしまいます。
そう。カレンは5年前に亡くなっているのです(!?!?)
それがきっかけで塔野家はめちゃくちゃに。母親は蒸発し父親は情緒不安定…カオルは現在父親とふたり暮らし。父親とカオルの血は繋がっていません。
カレンの死をずっと自分のせいだと考えて来たカオル。もしも、あのとき。ああすれば。妹は死ななかったのではないか?
夜。日付が変わろうとする時間。
カオルは散歩に出かけます。
1時間ほど歩いた頃。トンネルの前まで来たカオル。そこは電車が通るトンネルで、その近く。線路脇。
手すりがあり、下へ続いているよう。
好奇心から降りてみようと決めたカオル。その先には…トンネル。
さっきと違い少し小さめ。でも出口が見えない。
引き返そう。そう思った時にふと思い出しました。
『ウラシマトンネルって知ってる?』
…
携帯のライトを使いトンネルを進むカオル。
その先。無数の白い鳥居とその間にある松明。
加えてケータイは圏外。やばい空気を感じ、引き返そうとするカオル。
そこへ奇妙な現象が立て続けに起きます。トンネル内にカレンが履いていたサンダル、昔飼っていたインコの登場。幻覚ではなく、本物だったのです!
さらにカオルは思い出します。トンネルのウワサの続き。年を取る。
逡巡も束の間、彼は全力で引き返しトンネルを出ます。顔も老けてなくてホッとするカオル。
しかし。帰宅したカオルに父親はいつもと違い優しく接していて、
「まったく、一週間もどこで遊び呆けていたんだか……」
イッシュウカン?どゆこと???
ウラシマトンネルのウワサは本当だったのかもしれない。カレンとまた暮らせるかもしれない。そう考えたカオルはひとりトンネルの検証をすることにします。
しかし、それを転校生の花城に見つかってしまい…ふたりでウラシマトンネルについて調べます。理由は花城がカオルに興味を持ったから…!?
果たしてふたりはトンネルのその先で、代償と引き換えに欲しいものを手に入れるのでしょうか。
クラスでは孤高の花城がカオルと一緒に行動する真意とは???
人生のあり方、生き方について語る場面は本当によかったです。花城が特別にこだわる理由やカオルが普通でいいと考えている理由。
それらを抱いてウラシマトンネルの検証に臨む姿…とても感動しました。
ウラシマトンネルによってもたらされる恩恵、代償。それらを乗り越え彼らは成長し少しずつ前に進むのです。ホント感動しました(何回感動言うんだ)。
それでは〜ノシ